宝石研磨機の解説

石の選び方、切断の仕方から宝石の出来上がりまでの説明が書かれています。

(下記の内容は総合法令出版(株)の承認を得てストーンハンティング(著者:本郷俊介)から引用しました。)

機械を使った切断と研摩

現代の生活リスムとテンポに合ったジェム・カッティングを楽しむためには、それ相応の用具類を使用しなくてはなりません。最近では、さまざまな手作りホビーの流行と相まって、素人でも手軽に使える切断機、研磨機、用具等が販売されています。ここでは、それらを使ったジェム・カッティングについて述べてみましょう。なお、切断機、研磨機等はモーターを使用しますので、必ず電気アースを取ってから使用するよう心がけて下さい。
 ジェム・カッティングは、原石を選ぶときから始まっているといえましょう。というのも、石を研磨することによって、その美しさを引き出すことはできます。しかし、どれほど上手に研磨したとしても、さらに良質の石にすることは不可能だからです。従って、原石を選ぶに際して、よほど慎重に良質の石を選ばなくてはなりません。
 原石を選定する場合、次のことに留意して選びましょう。
○ひびの有無を確かめます。ひびが入っていると研磨途中で割れたりして、またやり直しということになりかねません。
○同じ種類の原石の場合、小さくとも色の良い原石を選ぶようにしましょう。石の価値は色が左右すると考えて下さい。
○色が良くても、傷や不純物が混入している/のは選ばないようにしましょう。
○透明な石は色ムラのない石を選びましょう。
○高価な石は、できるだけロスを省くように切断しましょう。薄いダイヤモンド刃で切断するとロスは少なくなります。高価な石は不用の部分でも使えるので、トリミングの際に効果的な切断を心がけましょう。
 なお研磨加工できる宝石・貴石の名称と硬度・比重については、巻末に資料として掲載していますので、参考にして下さい。

スラビングの方法

ジェム・カッティングは、作る作品の種類、形によって方法、用具、機材等も異なってきます。日本で採れる石は主にカボッション・カットに適しています。また、初心者がまず手がけるのもカボッション・カットですので、ここではカボッション・カットの作業行程(トリミング、グラインディング、サンディング、ポリッシング)を中心に述べることにします。
 スラビングは原石を両手で支え、まっ直ぐ、少し押し加減に切断します。この作業のポイントは、直線に切断するということと、石をダイヤモンド回転刃に押し当てる際に強く押し当て過ぎないということです。
 切断途中で石が曲がったり、がたついたりすると刃が欠けたりします。また、強く押し当て過ぎると、回転刃のダイヤモンド粒が脱落したり、回転がストップする原因となります。というのも、石を切断するといっても、正確には石をダイヤモンド回転刃についているダイヤモンドの粒で削り取っているにすぎないからです。
 小さなダイヤモンド回転刃で大きな石を切断すると、刃が曲がったり、折れたり、また回転がストップしますので、くれぐれも注意して下さい。
 ダイヤモンド回転刃は、長く使っているうちに、ダイヤモンド粒が徐々に脱落し、切断効率が落ちます。切れが悪くなったなと感じるようになったら必ずドレッシング(整形)するよう心がけて下さい。ドレッシングの方法は、ダイヤモンド回転刃を回転させながら古い砥石を当てながら行います。
 石を切断する際に摩擦により高熱を発します。ダイヤモンドは650度位の熱で酸化してしまいますので、切断するときは、必ず水あるいは専用の切削液を切り口に注ぎながら切断して下さい。

ダイヤモンド回転刃の種類

■スイスタイプ・メカニカルロック
銅あるいは炭素鋼の薄円盤の外周の切りミゾにダイヤ粒を固定してタイプで、4~5インチの小径のものが多い。
■ジャーマンタイプ・メカニカルロック
炭素鋼の円盤の外周のミゾにダイヤ粒を固定したタイプで、大径でも薄い厚さの物がある。
■リムロック(メタルロック)
ダイヤ粒と合金を焼結した小片を外周にろう付けあるいは埋め込んだタイプで多少厚いが大径の物が作られている。
■コンティニュアス
ダイヤ粒と合金を外周の全面に焼結したタイプで一般的である。
■電着
彫刻などの切り込み用に使用される。小径の物が多く、ダイヤ粒を電気メッキで固着させたタイプ。

スラビング(大割り切断)について

原石を研磨し易いように、適度な大きさに切断することです。スラビングは、原石の大きさにより、その方法も機械もいろいろあります。
 1mを越すような大きな原石の切断には、ワイヤーソー(鋼鉄線)を使用する方法がありますが、これは趣味としてジェム・カッティングを行っている人には、それほど関係はないでしょう。
 両手で持てる程度の石であれば、10~36インチの大型ダイヤモンド回転刃で切断します。しかし、このサイズの切断機を所有している人は少なく、専門の業者に依頼するとよいでしょう。
 また、大きな石を切断する方法として「弓のこ式切断法」もあります。これも石の専門の業者が行っている切断法で、一時に何枚もの石を切断することができ、コストが安いという利点がある反面、切断所用時間が長いという欠点があります。
 次に、こぶし大の石であれば、8~10インチのダイヤモンド回転刃を使用します。また、小さくて、高価な石の場合は4~6インチのダイヤモンド回転刃でスラビングします。
 原石の大きさと使用するダイヤモンド回転刃との関係については、次表を参考にして下さい。

宝石、貴石の切断に使用されるダイヤモンド回転刃の参考表

トリミング(小割り切断)について

トリミングとは、スラビングで大体の大きさに切断した石板上に、マーキング(テンプレートで石取りを行うこと)を施し、それに基づいて必要な部分を切断して取り出すことです。この作業で留意すべきことは、必ず石取りした線の少し外側を切断するということです。また、不用な部分でも別の作品に使用できるかも知れませんので、効率よい石取り及びトリミングを心がけましょう。

研摩について

研磨には、グラインディング(荒研磨)、サンディング(中研磨)、ポリッシング(光沢出し)とがあります。一般的には、荒研磨、中研磨、光沢出しの順で行います。

●グラインディング(荒研磨)●

グラインディング

トリミングした石の角を取り去り、形を整える作業が主体になります。最も簡便な方法は、研磨機にGC砥石を装着し、砥石を回転させ、それに石を押し当てながら角を削り取っていきます。この際、砥石の直径は6~8インチのもの、そしてきめの粗い80~120番手の砥石から始め、200番手の砥石に切り替えながら研磨します。なお、砥石の回転数(rpm)は1分間に1500~1800回転くらいの中速にします。硬度が低い石(柔らかい石)であれば、低速でも結構です。
 研磨の際に、石が高熱を出して変色したり、割れたりしないように常に水を注ぎながら研磨します。これは次の中研磨でも同様です。荒研磨が終了したら、機械の内側等に削りかすなどが残らないようによく洗っておきましょう。

●砥石を装着する場合の注意点
グラインディングでは焼結した砥石を使用する場合が多いのですが、砥石は割れ物ですから、石や金物でたたかないようにして下さい。また、使用する前に、ひび割れがないか、砥石の外周に凸凹はないかなど点検します。
 砥石を装着するときは、必ず専用のワッシャーを正しい面に入れます。ナットは強く締めすぎないようにして下さい。
 機械に装着し、30秒位回転させて異常がないか確認して下さい。機械が振動する場合、その原因として次のことが考えられます。
○回転が速すぎる。その場合は回転スピードを落とします。
○砥石の外周に凸凹がある。その場合は、外周をドレッシング(整形)します。ドレッシングをしないで使用すると、石と砥石とが打ち合い、石が欠けることがあります。
○砥石が横揺れしている。この場合、砥石とワッシャーの間にスキ間があるか、正しく砥石が入っていないか、どちらかですから点検し直す必要があります。
○水が不均等にしみ込んでいる。この場合は、そのまましばらく回転させておけば水のたまりがとれ、振動はなくなります。

●サンディング●

荒研磨の主な目的は、石の角を取り、目的のサイズにまで削り込み、全体的な形を整えることですが、ある程度形が整えられたら、次にその石の表面を滑らかにしなくてはなりません。この作業が中研磨です。そうしないと石は光り輝きません。
 中研磨は、GC砥石を使っても、耐水ペーパーを使っても構いません。耐水ペーパーの場合は240番手から始め、GC砥石の場合だと400番手から始め、600、800、1200番手の順序で研磨していきます。
 回転数は1500~1800rpmの中速にし、水を注ぎながら研磨するのは、荒研磨と同様です。
 作業中に手から滑り落ちた石はいったんきれいな水で洗ってから研磨作業を続けて下さい。というのも落ちた石にきめの粗い砥石の粒などが付着します。そのまま研磨すると石に傷が付くことがあります。

●ポリッシング(光沢出し)●

中研磨でもかなり艶が出ますが、これをさらに光り輝くようにするためにポリッシングを行います。
 ポリッシング板(フェルト、牛皮、セーム皮、桐板、クリスタパット等)に、予め水で溶いておいた研磨剤=コンポル(酸化アルミ、酸化クロム、酸化ナトリウム)を塗り込みます。ポリッシング板を研磨機に装着し、回転させながら艶出を行います。特に艶を出したい場合は、研磨剤として、ダイヤモンドパウダー、ダイヤモンドペースト等を使用します。ここで注意すべきことは、石に熱を与えると割れたり、石の表面が変色します。
 磨き終えた石を、硬度の異なる石と一緒にしないようにして下さい。というのも、石と石とがすれ合い、硬度の低い石に傷が生じる原因となるからです。できたら、一個一個、別々のポリ袋に入れて保管するよう心がけましょう。

●ドッピングの仕方●

これは、小さな石を研磨する際に使用します。小さな石を指で押さえて研磨していると、砥石の遠心力によって、石が飛ばされ、表面に傷がつくことがあります。それを防ぐために、ドップワックスで石をドップ棒に固定して研磨するのです。石をドップ棒に固定する方法は次の通りです。
 ○ドップワックスをアルコールランプで溶かしながら、ドップ棒の先端につけていきます。
 ○接着しようとする石の表面の水分をアルコールランプなどで熱して取り去ります。
 ○溶けたドップ・ワックスを素早く、石と接着させる。その際、石の中心と棒とが垂直になるようにして下さい。ドップ・ワックス棒から石を取りはずず要領は、冷蔵庫で冷やすか、又はアルコールランプで熱すると簡単に取りはずずことができます。

いろいろな研磨方法

カボッションカットの手順

○原石を両手で持ち、静かに押しながら、まっ直ぐ切断する。
○切断に際して、石の厚さは作品の大きさによっても異なってくる。作品の直径が5~8ミリの場合は厚さ4ミリ。作品が15ミリ位のものだと厚さは6ミリ位。それ以上のものだと厚さ8~10ミリ位に切る。
○切り口に注水しながらスラビングする。
○スラビングした原石板上にテンプレートでサイズ、形を線引き(石取り)する。
○マーキングは鉛筆、アルミ棒を利用する。
○4~6インチのダイヤモンド回転刃を使用する。
○マーキングした線の外側の不用な部分を切断する。この際の留意点としては、線の内側を切断しないこと。
○切り口に注水しながらトリミングする。切削液を50~100倍の水にうすめて切断すると、ダイヤモンド回転刃の切れがよくなる。また刃の寿命も伸びる。
○不用な部分も効率よく生かす。特に高価な石ほど有効に使う。
○GC砥石の120、220番手を使用する。
○石の角を削り取る。
○水を注ぎながらグラインディングを行う。
○パーツのサイズより小さく削りすぎないように注意する。
○GC砥石の側面を利用して研磨することもできる。
○石が小さい場合はドッピングをする。
1)石の角を削り円柱状にする。
2)石の上部を徐々に削り取る。
3)なだらかな丘状にする。
4)全体を均等な丘状になるよう整える。

○サンディングでは、荒研磨で形を整えられた石をさらにきめの細かな砥石にかけて磨き上げる。
○耐水ペーパーでサンディングする時は、裏面にペーパーボンドを塗り固定させる。耐水ペーパーは、240、400、600、800、1200番手を順次切り替えながらサンディングを行う。取り替える時に、前の砥石の削りキズがないようにする。点検の方法は、手の甲に石を乗せ、光をあてて調べる。なお、400番手までの段階で形のゆがみや凸凹を完全に修正しておかねばならない。
○ドッピングしてサンディングを行うのが一般的だが、大きなサイズの石は、そのままサンデシングを行ってもよい。

○研磨機を横にしてサンデイングしてもよい。
○回転速度は中速で行う。
○注水しながらサンディングを行う。
○中研磨である程度艶は出るが、さらに光沢を出すためにポリッシングを行う。
○研磨機の内部に付着している汚れを水で洗い、きれいに拭き取る。
○研磨剤(コンポル)を水で溶き、その溶液をポリッシング板にハケで塗る。
○ポリッシング板を研磨機に装着し、石をゆっくり回転させながら押し付けてポリッシングを行う。その際、あまり強く石を押し付けないようにする。
○研磨剤が乾いてきたら再度塗り足す。
○磨きムラがないか、光を当ててよく見る。
○石を落としたら水で洗い、汚れの付いていない布で拭くようにする。

ファセットカット

「ファセット」というのは「面」という意味があります。つまり原石を面の状態で研磨していき、その面の角度をいろいろ変えたり、組み合わせて研磨する方法をファセット・カットといいます。
 たとえば、ダイヤモンド、エメラルドのような透明の石はこの方法で研磨しています。
 日本のプロは、特別な機械を使わず、手の微妙な角度だけで石を削り込んでいく方法をとっています。しかし、私たちアマチュアのジェム・カッターの場合は特別に設計されたファセッターと呼ばれる機構の付いた研磨機を使用しないとなかなかうまくいきません。練習し、技術を磨けば、誰でも複雑なファセット・カットができるようになるでしょう。
 この研磨には専用のダイヤモンドディスク、銅板の回転板、あるいは錫の回転板などが必要ですし、ダイヤモンドペースト、ダイヤモンドパウダーを使って、研磨していきことが多いようです。もっとも、単純な面の構成なら、鋳鉄板とコランダムパウダーがあれば、誰でも簡単に面を作ることができるでしょう。
 このファセット・カットはアメリカなどでは、一般の人たちまで普及していますが、日本ではまだそこまで進んでいないようです。
 しかし、一足跳びに難しいファセット・カットに入るのではなく、カボッション・カットと呼ばれる、上面を滑らかなカーブを持った曲形に磨きあげ、下面を平面または緩やかなカーブを持った曲面に仕上げる研磨方法をまずマスターする方がいいでしょう。
 ところで、日本でストーン・ハンティングされる石は、カボッション・カットに適した石が多く、ファセット・カットに使用する石は世界各国から輸入した石を使用することになります。このファセット・カットの技術をマスターし、原石さえあれば、町の宝石屋さんで売られている宝石と同じようなものを作り上げることができるようになります。このファセット・カットは、主にダイヤモンドなど透明な宝石の研磨に使われていますが、アマチュアではダイヤモンドを研磨することはまずありません。もっとも、将来ダイヤモンドの原石がたやすく入手できるようになればアマチュアの方でも挑戦することになるかもしれません。

ファセットカットの手順

穴あけ、彫刻

石に穴をあけることは、研磨する以上に難しいことです。通常、アマチュアはダイヤモンドドリルを使用して穴をあけていきます。やはりこれもダイヤモンドの刃先に十分注水しながら穴をあけていきます。穴をたくさんあける場合は超音波加工機などを利用する方法もあります。これは超音波によって、振動する刃先にカーボランダム、コランダム等の砥石の粉を水で溶いて、注ぎながら切削していく方法です。ときにはダイヤモンドの粉なども使用されます。
 ある程度の大きさの穴をあける場合は、決められた直径の専用のダイヤモンドコアードリルが販売されているので、それを使用します。
 また、ダイヤモンド工具でなくても、鉄で作られたコアードリルという道具を使用すれば穴をあけられます。これもやはり、カーボランダム、コランダム等の粉を水で溶いて注ぎながらあけていきます。

その他の研磨

彫刻加工は専用の彫刻機が販売されているので、それを使用します。鋳鉄板、鉄板などのコマにカーボランダム、コランダム等の液体を注ぎながら、研磨していきますが、なにしろ、手が非常に汚れるという欠点があるので、アマチュアの彫刻加工はダイヤモンド工具を使用したものに変わりつつあります。
 彫刻機による研磨は、機械を固定して研磨する方法と、ハンドピースのように手で持ち、自由に動く工具を利用する方法の2通りがありますが、やはり加工する石の大きさに合わせて選定することはいうまでもありません。
 それから石を丸く研磨する丸玉研磨機、印鑑のような円柱を作る石用センターレス旋盤等もありますが、アマチュアが使うような小型のものはまだあまり販売されていないようです。
 バレル研磨法というのを少し説明しておきます。バレルというのは、直訳では、「樽」ということなのですが、簡単にいえば、この樽状の容器の中に研磨剤と石とを入れ、これを回転させることによって表面を研磨していく方法です。この方法には回転バレル方式と振動バレル方式があります。このいずれも専用の研磨剤を順次替えながら、研磨、光沢出しと順々に加工していきます。特に同じものを多量に作るとか、大きな石の表面だけを研磨するというときに用いられます。これも小型のものが販売されていますので、この研磨方法を利用していろいろな作品を作ることができます。
 専用のラッピング研磨機を使ってインテリア・アクセサリーなどを作る方法があります。
 インテリア・アクセサリーは比較的大きな物が多いようですから、研磨機も平面研磨機、ラッピングマシンという、かなり大きいものが必要になります。これも回転方式と振動するバイブレーション方式があります。これもやはり、順次研磨剤を変えながら、光沢出しと最後の工程まで行います。これを利用して、時計板とか、ペン立てなど、切断面をきれいに研磨したロック・アクセサリーを作ることができます。

丸玉研磨の手順・彫刻の手順

加工例

さて、今まで述べてきた各研磨方法は、代表的な研磨方法の一部を簡単に説明したにすぎません。これらの研磨方法を組み合わせたり、自分で開発した研磨方法を駆使していろいろなものを創作されるのもまた楽しいと思います。詳しい研磨の仕方は、とてもこの本の中で述べることはできませんので、研磨テキストなり、ジェム・ショップなり、研磨教室等へ入学してマスターして下さい。
 なお、カボッション・カット、あるいはシンプルなファセット・カット、彫刻でしたら、独力でマスターすることも難しいことではありません。
 研磨の原理は、小さな物を磨くときでも大きな物を磨くときでもあまり変わりはないので、まず、アクセサリーなどの小さな石を利用したいろいろな作品を作ることから始めるとよいと思います。その後、スペース、あるいは専用の機械が整えば、インテリア・アクセサリー、たとえばきれいな原石を張り合わせたテーブルとか、石を利用したタイル、などへ徐々に進んでいけばいいと思います。あなたのアイデア次第でこの趣味は無限に広がっていくことでしょう。
 そして、いずれの作品を作るにしても、専用の機械や知識などが必要になるので、機械メーカーあるいはジェム・ショップなどに気軽に、またこまめに足を運ぶことが大切です。そこではいろいろな機械、研磨用品、研磨工具などが用意されていますので、きっとあなたに適切なアドバイスをしてくれることでしょう。

パーツの選定

装飾品を作る場合、研磨した石をパーツ(部品)に取り付けて完成品とするのが一般的です。もっとも、パーツを使用しないこともあります。
 パーツには、銅板や真鍮板をプレスして打ち抜いた物、それを曲げ加工してろう付けした物、金属板を機械で彫り出した物、キャスティング(鋳造)された物など各種あります。
 いずれの場合も金色、白色(ラジウム)、古美色などにメッキ加工されています。また、貴金属、例えばシルバー、10金、14金、18金、ホワイトゴールド、プラチナなど高価なパーツもあります。研磨する石に応じて、最もふさわしいパーツを選ぶように心がけましょう。ただし、初心者の場合は、比較的に安価なパーツから手がけた方が無難です。
 装飾品を作っていると、石に合わせてパーツを選ぶか、パーツに合わせて石を選ぶか、という素朴な疑問にしばしば遭遇します。このような場合、高価でない石はパーツを先に選ぶというのが一般的です。逆に高価な石の場合、その石の魅力を最大限に生かすために、研磨する段階では、出来上りのサイズが前もって分からないケースもでてきます。従って、石を研磨した後で、それに最もふさわしいパーツを選定するとよいでしょう。
 また、石を使ったすべてのアクセサリーに言えることですが、石が主役か、パーツが主役かという命題にもぶつかります。
 このようなとき私は、価格的に安いアクセサリーではパーツのデザインがその価値を高め、また、高価な装飾品では、石そのもの価値が大きく影響すると考えるようにしています。というのも、デザインは流行に左右されますが、石の美しさそのもは永久に不変だからです。
 パーツ類は、デパートのジェム・ショップ、彫金材料店、七宝焼材料店などで入手できますが、オリジナルのパーツを作るのも、ジェム・カッティングの大きな楽しみのひとつです。彫金、鋳金のロストワックス法などをマスターしておくとさらに奥の深い趣味となります。

石をパーツに固定させる方法

研磨された石のほとんどは、パーツに固定されて始めて完成した装飾品、つまり作品となります。
 パーツに固定させる方法は、大きく分けて、つめ止め式とはめ込み接着式とがあります。はめ込み接着式は比較的安易です。2液性のエポキシ樹脂のボンドをよく練り、それを石とパーツの双方に塗って貼り合わせます。その際、ボンドが外側にはみ出さないよう注意しなくてはなりません。ボンドが外側にはみ出した作品は見た目にもよくありません。
 つめ止め式になっているパーツに石を固定する方法ですが、はめ込み式より多少慎重にしなくてはなりません。まず、つめの内側をヤスリで削り、石のサイズとぴったり合うように調整します。次いで、つめ止めヤットコで石に傷をつけないように気をつけながら、つめを少しずつ倒して順次締めていきます。万一、つめに傷がついたら、フェルトパフ掛けで直します。
 つめ止め式、はめ込み式、いずれの場合も、使用している最中に石がパーツからはずれないようにしなくてはなりません。また、石をパーツのサイズに合わせながら研磨することがありますが、その際、パーツに摺り傷がつかないように注意しなくてはなりません。石合わせの際に、パーツの表面にセロテープなどを貼って保護して作業を進めるとよいでしょう。