●パーツの選定●
装飾品を作る場合、研磨した石をパーツ(部品)に取り付けて完成品とするのが一般的です。もっとも、パーツを使用しないこともあります。
 パーツには、銅板や真鍮板をプレスして打ち抜いた物、それを曲げ加工してろう付けした物、金属板を機械で彫り出した物、キャスティング(鋳造)された物など各種あります。
 いずれの場合も金色、白色(ラジウム)、古美色などにメッキ加工されています。また、貴金属、例えばシルバー、10金、14金、18金、ホワイトゴールド、プラチナなど高価なパーツもあります。研磨する石に応じて、最もふさわしいパーツを選ぶように心がけましょう。ただし、初心者の場合は、比較的に安価なパーツから手がけた方が無難です。
 装飾品を作っていると、石に合わせてパーツを選ぶか、パーツに合わせて石を選ぶか、という素朴な疑問にしばしば遭遇します。このような場合、高価でない石はパーツを先に選ぶというのが一般的です。逆に高価な石の場合、その石の魅力を最大限に生かすために、研磨する段階では、出来上りのサイズが前もって分からないケースもでてきます。従って、石を研磨した後で、それに最もふさわしいパーツを選定するとよいでしょう。
 また、石を使ったすべてのアクセサリーに言えることですが、石が主役か、パーツが主役かという命題にもぶつかります。
 このようなとき私は、価格的に安いアクセサリーではパーツのデザインがその価値を高め、また、高価な装飾品では、石そのもの価値が大きく影響すると考えるようにしています。というのも、デザインは流行に左右されますが、石の美しさそのもは永久に不変だからです。
 パーツ類は、デパートのジェム・ショップ、彫金材料店、七宝焼材料店などで入手できますが、オリジナルのパーツを作るのも、ジェム・カッティングの大きな楽しみのひとつです。彫金、鋳金のロストワックス法などをマスターしておくとさらに奥の深い趣味となります。